平素は地域協議会の活動にご理解いただきありがとうございます。
今年度の「地域のひろば(第29号)」を作成いたしましたので以下にお届けいたします。
今後ともよろしくお願いいたします。
人材派遣協会の動きと当協会の取り組み
一般社団法人日本人材派遣協会 会長 川崎 健一郎氏
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中部地域協議会の皆様には、派遣協会の活動及び運営につきまして、日頃より格別のご支援とご協力を賜り、この場をお借りしまして心より御礼申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、現在まで2年以上にわたり、我々はコロナ禍と呼ばれる期間を過ごしてまいりました。昨年2021年は、地域によっては年間の7割以上が緊急事態宣言下もしくはまん延防止等重点措置期間という、未曽有の事態となりました。この2年間は、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止しながら、社会経済活動をできる限り停滞させることなく継続することが、我が国全体におけるもっとも大きな課題のひとつでした。我々人材派遣業界でも、派遣社員の安定的な雇用を実現しながら、新たな雇用機会の創出に貢献するべく、様々な取り組みを行ってまいりました。
我が国において特に大きな課題の一つが、人口減少と少子高齢化の加速です。政府の推計では、2050年までに人口が2,000万人減少し、65歳以上の高齢者の割合が4割に迫ると見込まれています。労働力人口が大幅に減少するなかで、持続的な成長を遂げるために不可欠なのが、生産性の飛躍的な向上です。そのためのカギとなるのが、教育訓練やキャリア形成支援により人々の潜在的な能力を引き出すことであると考えています。働く人々が自身の将来に対する展望を持ち、必要な能力開発を促進し、幸せを感じながらいきいきと働く環境を創り上げることが欠かせません。当協会としましては、安定的な雇用の実現と合わせ、一人ひとりがより幸せを感じ活躍できる社会の実現に貢献できるよう、全力を尽くしてまいります。
「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)でも人への投資を重点投資分野のひとつとして掲げられるなか、大きなキーワードとなるのがリスキリングと人的資本経営です。人材のプロフェッショナルである我々は、働く人々が将来への展望を描くことを支援するキャリアコンサルティングや、ITなどの成長産業への労働移行を促すためのキャリア形成支援、そして、多様な働き方の選択肢と就業機会の提供といった取り組みを通じて、多くの人々が幸せを感じながらいきいきと働ける環境の構築に大きな役割を果たすことができる存在です。
中部地域協議会会員の皆様と協力・連携しながら、派遣社員はもとより各社の従業員をしっかりと支え、より良い未来を実現するために取り組んでまいります。
皆様の益々のご発展をお祈りし、引き続き、倍旧のご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
労働者派遣事業の適正な運営に向けて
愛知労働局需給調整事業部 部長 山﨑 孝義氏
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日本人材派遣協会中部地域協議会並びに会員の皆さま方には、労働行政へのご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、この間、愛知労働局需給調整事業部では、派遣労働者の雇用維持要請を複数回に渡り行って参りました。中部地域協議会の会員企業の皆さま方をはじめ、派遣元事業主の皆さまにおかれましては、必要な雇用安定措置への適切な対応や雇用調整助成金等を活用した雇用維持にご尽力いただき感謝申し上げます。
さて、最近の愛知労働局管内の雇用情勢は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、令和2年12月には有効求人倍率が1.02倍と1倍を切る寸前まで低下しました。その後、徐々に上昇し、この7月には1.37倍まで改善し、持ち直しの動きが広がりつつありますが、一層注意する必要があると判断しているところです。
この状況は、企業からみれば必要な人材が集まらない、特に中小企業は厳しい状況にあり、皆さまもご苦労されていることと思います。愛知労働局ではコロナ禍のもと雇用の確保・維持を重点対策の一つとして取り組んできましたが、新型コロナウイルス感染症の存在を前提とした社会が継続し、再び人手不足が進む中、今年度は人材確保・人材育成対策を重点に取り組んでまいります。
次に令和3年度の労働者派遣事業に係る指導監督状況ですが、実施事業所数は1,387事業所でコロナによる訪問指導の制限も緩和され対前年度比20.7%増となりました。指導監督を行った事業所のうち、文書指導を行った事業所数は958事業所で対前年度比83.9%増でした。主な指導事例は「労使協定に必要な記載事項が記載されていない」、「就業条件の明示を行っていない、法定項目の記載がされていない」、「派遣元管理台帳の不備」となっています。
本年度の指導監督方針ですが、新型コロナウイルス感染症の影響等による労働者派遣契約の中途解除や不更新があった場合でも、適正な雇用安定措置の履行に向けて取り組みます。また、令和2年4月1日に施行された改正労働者派遣法(同一労働同一賃金)については、制度施行より3年目を迎えますが、令和3年度の指導監督の結果を見ても、制度の理解が不十分な事業主が多く見受けられることから、適切な制度運用が実施されるよう重点的に助言・指導に取り組みます。
次に最近の法改正の状況について、令和4年10月1日に求職者が安心して求職活動をできる環境の整備と、マッチング機能の質の向上を目的とした改正職業安定法が施行されます。具体的には、「情報の的確な表示」、「個人情報の適正な取扱い」、「届出制の創設」等を求めるものであり、職業紹介事業者も含めたルールの整備を行うことにより、官民が一体となって労働市場の強化を図ろうとするものです。
「派遣事業・請負事業の適正化に向けた研修会」を今年も11月に開催予定していますが、昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で参加者が大幅に減少したことから、今年度はweb方式での開催、YouTubeでの配信を予定していますので是非参加、視聴をお願いします。
最後になりますが、我が国の労働市場・経済活動において、労働者派遣制度は労働力の迅速で的確な需給調整という重要な役割を果たしています。一方で派遣労働者の保護や雇用の安定といった課題もあります。
皆さま方におかれましては、派遣法や関係法令を十分にご承知いただき派遣先への適切な対応や派遣労働者には教育訓練・キャリアコンサルティングなどを通じて、派遣先、派遣労働者から頼りにされる派遣会社を目指していただきますようお願い申し上げます。
コロナ後に向けた労働環境への取り組み
中部地域協議会 会長 丸山 恭一氏
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コロナ禍の下で、派遣会社の皆さまにおかれましては、派遣社員の雇用と安全の維持・確保に取り組んでこられていることに改めて感謝申し上げます。
2022年も9月に入りましたが、この夏、新型コロナウイルス感染症も第七波に入り、感染拡大に歯止めがかからない状況となっています。私たち派遣業界においても、多くの派遣社員の方が感染し、派遣先様の業務に多大な影響をおかけすることとなっております。主として家庭内での感染が原因で、濃厚接触者も増え出社できない状況が広がっています。派遣元としても派遣先様等の対応、自社内の感染対応と今までにない状況となり苦慮しているところでございます。今後も派遣先様のご理解を得ながら、感染拡大防止と派遣社員の健康の確保に努めてまいりたく存じます。
さて、この2年間は、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止しながら、社会経済活動をできる限り停滞させることなく継続することが、我が国全体におけるもっとも大きな課題のひとつでした。われわれ人材派遣業界でも、派遣社員の安定的な雇用を実現しながら、新たな雇用機会を創出するべく、様々な取り組みを行ってまいりました。例として各自治体様からコロナワクチン接種関連業務や経済の落ち込みを防ぐための各種補助金関連への人的協力依頼があり、人材派遣や業務受託などを積極的に行い、社会インフラ維持の一旦を担ってきました。当協議会においても、この2年間はオンラインを活用とした活動が主となっておりましたが、この6月には制限しながらではございましたが、久しぶりに対面の地域協議会総会と懇親会を開催しました。出席された皆さまからは、「生のコミュニケーションで情報交換ができ非常に有意義だった」との声を多数いただいています。今年度は感染状況をにらみながらになりますが、著名人をお呼びしての講演会などの対面のイベントを実施し交流機会を増やしていきたいと思います。また、「相互の人脈づくりのためインフォーマルな活動も加えたらどうか」との声もありましたので、会員相互の交流を深められることを企画していければと思っています。
また、われわれ派遣業界はこれからの社会的要請となるであろう「雇用安定(労働移動等)の実現やデジタル人材育成」に関する取り組みに対し、ITなどの成長産業への労働移行を促すことにつながるキャリア形成支援、そして多様な働き方と就業機会の提供といった取り組みを通じて、多くの方々が働ける環境の構築に大きな役割を果たすことができる存在かと思います。また高齢者や若年層、子育て世代など多様なニーズを持つ方にも労働市場に参加しやすい環境を整えていくことも益々期待され、改正にあわせた対応に取り組むことで、こうした環境変化に素早く順応していく業界であると思います。一方で、地域における派遣会社だけでは情報の浸透が困難な側面もございます。協会サービスの利用促進や、地域ならではの情報を共有することで、会員企業のレベルアップを図り、業界全体が社会から評価いただけるよう誠実に取り組んでいくことで地域の活性化にお役に立てるよう努めてまいります。
そして、日本人材派遣協会との連携を密にしながら、派遣社員の「キャリア形成支援」を一層進め、また行政当局との対話を続け「コンプライアンス遵守」を推進し、公正な待遇の確保や個別事案対応力強化を図り、業界の健全な発展に尽力し地域に貢献できるよう取り組んでまいります。引き続き倍旧のご厚情を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
人材派遣業における最新の相談状況について
一般社団法人日本人材派遣協会 事業推進グループ 長尾 明子氏
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日本人材派遣協会では、派遣に関する相談についてお応えする「相談センター」を設置しております。会員企業の皆様はもちろん、どなたでもご利用いただけます。
2021年度の相談件数は3,360件となりました(別表参照)。2020年度から相談件数が減少していますが、コロナ禍で相談センターの体制を一時期Web相談のみとさせていただいたことが影響していると考えています。
対象 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 |
---|---|---|---|---|---|
派遣社員 | 2,020 | 1,790 | 1,747 | 1,064 | 787 |
派遣会社 | 4,570 | 4,323 | 4,247 | 2,579 | 2,305 |
派遣先企業 | 336 | 363 | 297 | 159 | 98 |
その他 | 117 | 660 | 743 | 445 | 170 |
合計 | 7,103 | 7,136 | 7,034 | 4,247 | 3,360 |
派遣社員からの相談
【業務内容が契約と違う】
毎年、派遣社員から、大変多く寄せられる相談です。
「契約と違う仕事を強いられ、契約内容と違うと伝えるが対応をしてもらえない。」
このような苦情を防ぐためにも、契約締結にあたっては、業務内容を始め、就業場所や労働時間等、十分に理解し納得するよう派遣社員に丁寧に説明し、お互い合意の上で、その内容を書面に残しておくことをお勧めします。なお、業務内容については、合意内容を出来る限り詳細に記入することでトラブルを防ぐことになるのではないでしょうか。そのうえで、契約と明らかに違う仕事をさせられているのであれば、派遣先に是正をお願いするなどの対応が必要です。
【業務内容が契約と違う】
「派遣先の都合で本日をもって終了と派遣会社から連絡があった。今月末までの雇用契約だが、休業補償はしてもらえるか」
派遣元が雇用契約期間中に次の仕事を紹介できなければ、派遣社員は休業手当の請求が可能ですが、休業手当は給与が全額支給されると思っている派遣社員も少なくはありません。民事上は全額払いが原則(民法536条危険負担)ですが、労基法26条の休業手当では、少なくとも平均賃金の60%以上となっていますので、派遣社員に納得いただけるようご説明ください。
派遣元からの相談
【休業手当の支払い】
「スキル不足で派遣契約が中途で終了となった。派遣社員に次の仕事を紹介しても断られ続け、次の仕事が決まらない。休業手当の支払いはいつまで必要か」
同じ条件の仕事を紹介し、派遣社員が断った時点まで支払いが必要となります。
派遣元の方では同じ条件の仕事を紹介したと思っていても派遣社員の希望に合致していないケースも見受けられますので、ご本人の希望に添えるお仕事を紹介できるよう、派遣社員と日頃からコミュニケーションを取ることをお勧めします。また、断られた時は、同じ条件で仕事を紹介したこと、断った理由、そのメール等のやりとり等を記録に残し、派遣元として義務を果たしていたことを確実に記録しておくことが大切です。
【休業手当の支払い(コロナ感染者増加の影響)】
「派遣社員が派遣先でコロナ陽性者になった場合、休業手当の支払いは必要か」
都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」には該当しないため、休業手当の支払義務はありませんが、労災保険の療養補償給付及び健康保険の傷病手当金での補償が考えられます。どちらも、手続きには雇用主である派遣元の協力が重要となります。なお、賃金を補償するには、就業規則にあらかじめその旨を記載しておく必要があります。
また、「新型コロナ濃厚接触者となった場合の企業側の意向で自宅待機」の場合は、休業手当を支払うことになります。
【社会保険の適用拡大】
「雇用期間が2か月以内の期間であっても更新の可能性が有れば、最初から社会保険に加入させなければならないか(以下Q&A問38)。」
2022年10月1日からの社会保険に関する法改正により、法改正による社会保険の適用拡大に関する相談が直近で多く見受けられるようになってきました。
日本年金機構では、以下Q&Aを掲載しています。ご確認ください。
短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(令和4年10月施行分)
派遣先からの相談
【派遣料金の支払い、代替要員】
「派遣社員が年休を取得した場合、休暇分も派遣元に派遣料金を払わなければならないか、また、代わりの派遣社員を派遣してもらうことは可能か」
派遣先との契約上、派遣元は派遣社員が年休を取得する場合には代替要員を派遣しなければなりません。代替要員を派遣しなかった場合、派遣先は債務の提供がなかったとして、派遣元にその日分の派遣料を支払う必要はありません。
なお、派遣社員が自己都合等で退職した場合、派遣元は、派遣先と派遣社員を交代する等の対応の相談をし、代替要員を送る必要があります。派遣元が代替要員を送れない場合は、派遣契約の債務不履行として派遣先から損害賠償を請求されることもありますので、慎重な対応をお願いします。
何かご不明な点がございましたら、相談センターまでお電話ください。
また、当協会HP「お問い合わせフォーム」からのご相談も賜っております。併せてご利用ください。
一般社団法人日本人材派遣協会 相談センター
9:30~19:00 月~金(祝日、年末、年始を除く)
TEL 03-5744-4125(直)
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