地域のひろば(第27号)

地域のひろば(第27号)

平素は地域協議会の活動にご理解いただきありがとうございます。
今年度の「地域のひろば(第27号)」を作成いたしましたので以下にお届けいたします。
今後ともよろしくお願いいたします。

人材派遣協会の動きと当協会の取り組み

一般社団法人日本人材派遣協会 会長 田﨑 博道氏

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中部地域協議会の皆様には、派遣協会の活動及び運営につきまして、日頃より格別のご支援とご理解を賜り、この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。

2020年度は、いわゆる同一労働同一賃金をはじめ、様々な労働政策がスタートする大転換点にありますが、世界的な新型コロナウィルス感染症の拡大は、日常生活のみならず、経済活動にも多大な影響を及ぼしています。
あらためて、感染によりお亡くなりになられた方々に衷心よりお悔やみを申し上げるとともに、治療中の皆様にお見舞いを申し上げます。また、感染拡大の中、医療現場の最前線で見えない敵と闘い続けている医療従事者や私たちの生活を支えていただいているエッセンシャルワーカーの皆様に、心より敬意と感謝の意を表します。

この大きな環境変化の最中にあっても、派遣社員も含めてすべての働く人が、安全に、健康に、安心して働けるようにしていかなくてはなりません。私たち派遣業界には、派遣先企業をはじめ各ステークホルダーの皆様と連携して、派遣社員の健康と雇用を守る取組みを継続して推し進めていくことが求められています。
そして、このような厳しい状況下であっても、多くの人材を必要とする業界、業種、企業は存在しています。労働市場における需給調整機能を担う我々には、これまで以上にその機能を発揮し、雇用の創出にも貢献していく役割があると考えています。

一般社団法人日本人材派遣協会としては、会員各社における一層のコンプライアンスの徹底をバックアップしていくとともに、 刻々と変化する人材ニーズを踏まえ、派遣社員の方々が新たな働き方に挑戦できるようにスキルアップの支援を行い、キャリアコンサルティングやキャリア形成支援にも継続して注力していきます。
こうした人材派遣業界の取組みが、社会に広く理解していただけるように積極的な広報活動も展開していきます。

中部地域協議会会員の皆様と共に、派遣社員はもとより各社で働く従業員をしっかりと支え、確かな未来の実現に貢献していきたいと思います。
皆様の益々のご発展をお祈りし、引き続き、倍旧のご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

労働者派遣事業の動向等について

愛知労働局需給調整事業部長 牧山 清氏

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日本人材派遣協会中部地域協議会並びに会員の皆様方には、労働行政へのご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。また、労働力需給調整機能の一つとして、大変重要な役割を担っていただいており感謝申し上げます。

さて、最近の雇用情勢ですが、昨年12月の愛知県の有効求人倍率は1.82倍でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、7月の有効求人倍率は、1.07倍まで低下したところです。

この間、愛知労働局では、コロナ感染症に係る経済への影響により、労働者派遣契約の期間満了に伴う契約の不更新や契約満了前の契約解除等が大いに懸念されたことから、県内の派遣元事業主等に対しまして、派遣労働者の雇用維持の要請等を複数回にわたって行いました。中部地域協議会の会員企業の皆様方をはじめ、派遣元事業主の皆様におかれましては、派遣先への周知を含めて必要な雇用安定措置への対応や雇用調整助成金等を活用した雇用維持にご尽力いただき感謝申し上げます。

コロナ感染症の終息が見えない中ではありますが、引き続き、法令等に基づき、派遣労働者の雇用の安定とその保護を図るための対応をお願いします。今後も、愛知労働局では、雇用安定措置等の実施状況等を確認するとともに、指導等が必要な場合は、派遣先を含めて実施することとしています。

こうした状況の中ではありますが、本年4月1日に派遣先の労働者と派遣労働者との不合理な待遇差をなくすための改正労働者派遣法が施行されました。昨年度から改正法に対応すべく、しっかりと取り組んでいただいていることかと思います。

改正事項の一つである「派遣労働者の不合理な待遇格差解消のための規定の整備」に関して、「労使協定方式」による場合は、「労働者派遣事業報告書」に労使協定書を添付することとされています。本年6月に提出された当該報告書には約90%の割合で労使協定書が添付されている状況です。この労使協定方式では、過半数代表者の選出方法に関して、過半数労働者が当該者の選任を支持していることが明確になる民主的な手続きが必要です。過半数代表者が適切に選出されなかった場合には、派遣先の通常の労働者との均等・均衡による待遇を確保しなければならないこととなります。

いずれにいたしましても、皆様方、派遣元は、派遣先の待遇情報を適切に収集し、不合理な待遇差が生じないよう適切な対応と派遣労働者に対して丁寧な説明を行っていただき、派遣労働者が不合理な待遇差を感じることがなく勤務していただくことが肝要と考えています。

また、厚生労働省では「令和3年度に適用される同種の業務に従事する一般の労働者の賃金(一般賃金の)額等について、「毎年6月~7月に通知で示す予定」とされていますが、本年は秋を目途として、新型コロナウイルス感染症の雇用・経済への影響を踏まえた一般賃金の額等が示されると承知しているところです。

次に、令和元年度の愛知労働局における労働者派遣事業等指導監督状況ですが、派遣先に対する文書指導率は77.0%と昨年度と比べ改善はされたものの非常に高い指導率であり、「派遣先管理台帳の不備」や「抵触日事前通知が適切になされていない」等の事例が文書指導を行った派遣先の半数以上で見受けられました。また、派遣元に対する文書指導率は、昨年度に比べ19.7ポイントも上回り56.2%と2社に1社の割合で文書指導を行ったこととなり、非常に残念な結果となりました。主な指導事例は、「就業条件等の明示の不備」や「抵触日通知を受けずに新たな派遣契約を締結する」等でした。

皆様方におかれましては、常に最新の法令に沿った関係書類の書式で、かつ、適正な手続きをお願いするとともに、大臣許可事業者として派遣先への適切なアドバイスをお願い申し上げます。

次に労働者派遣制度については、平成27年度改正法の附則において、施行後3年を目途とした検討が求められる等により、現在、労働政策審議会労働力需給制度部会で、今後の労働者派遣制度の在り方が検討され、令和2年7月に中間整理が示されました。今後、中間整理に基づき、本省において必要な省令等の改正が行われると承知しているところです。

最後に、貴協議会並びに会員の皆様方におかれましては、これからも派遣労働者、派遣先、そして誰からも頼りにされることを目指していただきますよう心からお願い申し上げます。

派遣社員の健康と雇用を守る取り組みを

中部地域協議会 会長 丸山 恭一氏

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先般、日本人材派遣協会・中部地域協議会の定時総会において、新たに会長職を拝命いたしました丸山恭一でございます。日頃は中部地域協議会の運営にご理解とご協力を頂戴し、心より御礼申し上げます。

今年度の定時総会は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、出席者をごく少数に絞り、大半は委任状に基づく総会となりました。懇親会も開催を断念したため会員の皆様にお目にかかれず、残念な思いが残りました。

さて、6月上旬に愛知労働局 需給調整事業部 牧山部長を新旧役員で訪問させていただきました。時節柄、加藤厚生労働大臣から発出された「新型コロナウイルス感染症に係る派遣労働者の雇用維持に関する要請書」のお話がありました。先方より業界への質問を受け、「派遣先の業界によってばらつきがあり、特に観光や飲食などサービス業が厳しく、次第に製造業にも及んできていること」また「派遣元として、派遣先と連携しながら、感染防止に努めつつ、時差勤務やテレワークなど新しい働き方にチャレンジしていることや、雇用調整助成金への関心が高く、これを利用しながら雇用確保に努力していること」などを報告いたしました。

一方、中部地域協議会では、コロナ禍においても会員の皆様に、よりお役に立てる情報をご提供できるよう、Webセミナーの形をとり、7月28日に「実戦!雇用調整助成金活用セミナー」と題して緊急の勉強会を開催致しました。愛知労働局 あいち雇用助成室 松山室長補佐にご講演いただき、ご参加いただいた21社30名の会員の方々に対し、雇用調整助成金制度をわかりやすく解説いただきました。セミナー後は、グループ別にWeb会議システム「Zoom」の機能であるブレークアウトルームをつくり、コロナ禍での各社の状況などをオンライン上で意見交換を行い有意義な会となりました。

また、現在コロナの第二波が到来していますが、予防ワクチンの接種や治療薬の開発が進まない限り、人材派遣業界も大きな影響を受け、先行きが不透明の状況が続きます。就任時の会長メッセージでも述べましたが、派遣社員の健康と雇用を守る取り組みを、具体化しながら推進する必要があります。健康管理の強化として、お客様である派遣先企業と協力しながら、①感染拡大防止に向けた方針の策定と共有②それに伴う社員の行動の変容③テレワークなど新しい働き方への支援④ソーシャルディスタンスの確保・マスクの着用・手洗いなど新しい生活様式への支援を進めてまいります。雇用維持については、①派遣先企業のご協力を得て派遣契約の更新②不更新の場合には、新たな就業機会の確保③休業や教育訓練時の雇用調整助成金等の活用などの努力をしてまいります。

最後になりますが、10月21日(水)には、毎年恒例となっている中部地域協議会主催での研修会を開催します。この状況下でございますので、Webセミナーの形で行いますが派遣会社の中堅・若手社員に元気を出してもらおうという企画です。後日ご案内させていただきますが、Webならではの取り組みのため人数に制限がございませんので、できるだけ多数の方にご視聴いただきたく存じます。

今後も会員企業の皆様と共に、協議会活動を盛り上げていきたいと思っておりますので、より一層のご理解とご協力、忌憚のないご意見・ご提案をお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

人材派遣業に於ける最新の相談状況について

一般社団法人日本人材派遣協会 事業推進グループ 長尾 明子氏

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日本人材派遣協会では、派遣に関する相談についてお応えする「相談センター」を設置しております。
2019年度の相談件数は7,034件となりました。2015年9月30日の改正派遣法施行前後は大幅に増加していましたが、2016年度~2019年度はおおむね横ばいの件数(7,000件程度)となっています。(別表参照)。

労働者派遣事業アドバイザー相談状況
対象 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度
派遣社員 2,482 2,013 2,020 1,790 1,747
派遣会社 7,514 4,484 4,570 4,323 4,247
派遣先企業 473 298 336 363 297
その他 369 206 117 660 743
合計 10,837 7,001 7,103 7,136 7,034

2019年度は同一労働同一賃金、本年度にはいってからは新型コロナウィルス感染症関係の相談が多く寄せられていました。

最近の相談内容の傾向

1.派遣社員からの相談

① 新型コロナウィルス感染拡大関連の雇止め【コロナ関係】

「既に9月一杯で終了を派遣元から伝えられていましたが、その後更新がありません。派遣元も「次を探しましょう」とは言うものの、コロナの影響で次が見つからず不安です。」

コロナの影響で経済が大きく低下しているので仕事が見つけ辛くなっています。働き方や条件の幅を広げることや、派遣会社や行政の教育訓練制度の利用、国の助成金制度の利用を検討すること等をアドバイスしています。

② 在宅勤務について【コロナ関連】

「直雇用の人は在宅勤務で、派遣社員だけが危険な思いをして通勤している。差別的な取り扱いは禁止されたはずなのに納得できません。」

職務内容が違えば、業務の場所や条件が異なることはあります、とご相談者に説明をしても納得してもらえない場合があります。不合理な差別と合理的な区別の違いの説明が十分になされていなようです。厚生労働省の「不合理な待遇差を解消するための点検・検討マニュアル(派遣業界編)などを参考に派遣社員への丁寧な説明をお願いします。

③ 退職金・交通費について【働き方改革関係】

「退職金の規程は、派遣会社にはありますが、派遣社員にはありません。他社の派遣社員は交通費の支給があるのに私にはありません。」

退職金や交通費の支給がなくても、賃金テーブルの派遣賃金が一般賃金と同等以上であれば、全体として派遣賃金の中に含まれています。これも派遣社員への説明不足が感じられるので前述のマニュアル等を利用し丁寧な説明をお願いします。

派遣元の皆様には、派遣社員に対して派遣法や派遣で働く上で必要となる労働関係法令、また、それらの法改正時にはその改正概要を説明していただくよう行政通達が出ております。是非とも派遣社員にも理解できるよう周知・啓発をお願いします。なお、労働関係法令をやさしく解説した派遣社員や派遣先企業に周知・啓発する資料を厚生労働省で作成しておりますので、ダウンロードしてご活用ください。

労働者派遣法を派遣労働者へ周知・啓発する際の資料
(厚生労働省のHP( http://www.mhlw.go.jp/)より、ダウンロードしてください。)

  1. 派遣で働く皆様へ
  2. 派遣労働者の皆さまへ 派遣で働くときに特に知っておきたいこと
  3. 知って役立つ労働法 働くときに必要な基礎知識
  4. これってあり? まんが 知って役立つ労働法Q&A

2.派遣元からの相談

① 労使協定方式の内容【働き方改革関係】

「労使協定方式を選択する場合の、賃金テーブルの決定の方法、通勤手当の支払いや退職金制度の選択はどうすればよいか」

これも前述の「不合理な待遇差を解消するための 点検・検討マニュアル(派遣業界編)」等を紹介して内容をご説明しています。

② 新型コロナウィルス感染症の拡大に伴った派遣社員の休業要請【コロナ関係】

「派遣先から派遣社員に対して休業要請があり、休業補償の交渉をしたところ、休業要請は、会社の都合ではなく、今回のコロナは天災なので会社の原因ではないため補償はしないと言われた」

厚生労働省のQ&Aでも、コロナ感染の影響は天災ではなく、休業要請も国の命令ではないとしています。つまり、派遣先が休むか否かは、派遣先の判断にすぎません。従って、派遣料金を請求することは可能です(民法536条2項)。

③ 雇用調整助成金【コロナ関係】

「助成金が支払われた場合、派遣先が支払った休業手当を返却してほしいと派遣先が主張している。返却しなければいけませんか」

派遣先が派遣元に支払うのは派遣料金であって、休業手当ではありません。休業手当の原資とはなりますが、休業手当そのものではありません。また、雇用調整助成金は労働者に休業手当等を支払った雇用主に助成するものですから、雇用調整助成金を受け取ってから休業手当を支払うのではありません。返却すべき法的な根拠もありませんが、最終的には派遣元の判断となります。

当協会の相談センターは、当協会の会員様をはじめ、どなたでもご利用できます。
何かご不明な点がございましたら、ご遠慮なくお電話ください。

一般社団法人日本人材派遣協会 相談センター

9:30~19:00 月~金(祝日、年末、年始を除く)
TEL 03-5744-4125(直)